逆解析機能とは
一般的な熱流体解析ソフトでは、設計者の考えた設計案をインプット条件として気流の流れや温度分布をシミュレーションによって求めるだけでした。そのため当初の設計条件では目的とする設計目標値を達成できない場合は、設計目標を満たす改善条件を、設計者自ら何度も考え直さなければなりません。設計目標を満たすことのできる改善案を見つけるためには、膨大な数の解析を繰り返す必要があります。
限られた設計検討期間内に、設計目標を達成する設計案をみつけるにはどうすればよいか?FlowDesignerの逆解析機能は、その答えを導いてくれる唯一のシミュレーションソフトです。
大阪大学との共同開発により、熱流体解析分野では世界で初めてノンパラメトリック逆解析機能を実現。達成したい設計目標値を入力すると、FlowDesignerの逆解析機能は設計の初期案から、「改善すべき条件はどこか」を「逆」に求めることができます。
逆解析
従来の解析では、課題をクリアするため、あたりをつけてシミュレーションを繰り返し、答えを探っていました。時間がかかり、答えがでないことも・・・。
逆解析の結果、右奥の開口を広げると効果があるということが目に見えてわかる。問題点の可視化が解決の糸口に!
ノンパラメトリックとは
従来の逆解析手法は、パラメータスタディ(改善したい設計条件、例えば開口位置、開口サイズ、風速、温度などを組み合わせ、計算を繰り返す作業)による膨大な計算を行い、設計の改善要因を探るものでした。 FlowDesignerの逆解析はパラメータスタディを必要とせず、随伴方程式による数学的な反転手法を流体解析で実現(特許を取得済)。わずか2回の解析で改善ポイントを求めることができるため、熱・流体問題の改善や検討に要する時間を劇的に短縮します。
実開発の現場で活用される逆解析の事例紹介
逆解析機能を利用して大きな効果が得られた2つの事例をご紹介します。
農業機械エンジンルームの冷却問題に逆解析を適用!
〜 ボディ開口部の最適化を推進 〜
ヤンマー中央研究所様
農業機械のボディ開口部の位置検討は、エンジンルームの冷却を最大化しつつ、外部に漏れる騒音を最小限に抑えなければなりません。冷却開口部を正面に取ることが当たり前とされていた設計案から新たな改善案を探るのは設計者にとって難しい課題でした。
ヤンマー中央研究所様はこの課題にFlowDesignerの逆解析を適用。シミュレーションの結果、より最適な開口部の位置を見出すことに成功しました。
下図(開口率感度マップ)の赤い部分①は新たに開口部を設けることで冷却が促進できることを示し、青い部分②の開口部は閉じた方が良いことを示しています。
駅舎の強風対策、最適な樹木配置を逆解析でシミュレーション
〜 人に優しい風環境を実現するために 〜
大阪工業大学様
強い風が吹くことで有名な宮崎県の延岡駅周辺。新しい延岡駅の改築に伴い、半屋外空間を有する駅舎周辺に心地よい風環境を生み出すには、樹木の位置や本数をどのように配置すべきか検討する必要がありました。
乾久美子建築設計事務所様と大阪工業大学では、この課題にFlowDesignerの逆解析を適用。樹木配置の最適な環境を逆解析により導き出しました。