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基礎編1. 熱伝導1.1 軸方向熱伝導(1) - 理論式
理論式
熱回路と電気回路との相似性(アナロジー)について
伝熱計算においては機器中の熱の流れを電気回路と同じように考えて温度を推定することができます。
これを相似性(アナロジー)があると言います。
電気回路では、電圧差、電流、電気抵抗、コンデンサ(電気を溜めるもの)などがありますが、同様に熱回路においても温度差、熱流 熱抵抗、熱容量(熱を溜めるもの)を考えることができます(解説図-1)。
ある部分に熱流 Q (W)が流れる時に生じる温度差 ΔT (K)は熱流 Q に比例し、その比例係数を熱抵抗 R (K/W)と定義します。
すなわち熱回路においても次式のオームの法則が成り立つのです。
- (解-1)
このオームの法則、特に熱抵抗 R は電気回路と同様、熱回路にとっても大変重要な概念となっています。
軸方向熱伝導の熱抵抗について
断面積 A (m2)の平板中を軸方向(x方向)に熱が流れるとき、その中の熱流 Q (W)は温度勾配に比例します。 これはフーリエの法則と呼ばれています。
- (解-2)
k (W/(m・K))は比例係数で熱伝導率と呼ばれるものです。
平板中の長さ L (m) 離れた2点間で上式を積分すると次式となります。
- (解-3)
ΔT (K)は2点間の温度差です。
式(解-1)と式(解-3) の比較から物体中を軸方向に熱が移動するときの熱抵抗 Rcd は次式で表わされます。(解説図-2)
- (解-4)
計算式と計算解
熱抵抗の概念とオームの法則を利用して棒に生じる温度差を計算してみましょう。
軸方向に熱が流れるときの熱抵抗は次にように計算できます。
FlowDesigner による計算結果はよく一致していることが判ります。
数値計算では構造が複雑な(解析解が求められない)ときこそ能力を発揮します。